雷光

蒸し暑き　　大地に雷光　　涼風す　　　一水

百日紅

鳩の来て　　鳴く梢あり　　百日紅　　　一水　　　

炎熱

炎熱や　　蟻無言なり　　蝉時雨　　　一水

終の友

ドライバー　　終の友かや　　蝉時雨　　　一水

酷暑

酷暑　　貨物徐行　　ぎしと鳴る　　　一水

ひぐらし

ひぐらしの　　鳴く声澄みて　　夕を告げ　　　一水

蝉とまる

情けなく　　濡れた地蔵に　　蝉とまる　　　　一水

日照雨

苔むした　　地蔵仏に　　日照雨かな　　　一水

地蔵仏

苔むした　　地蔵仏に　　日照雨かな　　　一水

石竹

石竹の　　赤感情の　　強くあり　　　　一水

子の足音

学び舎に　　行く子の足音　　心地よし　　　一水

多弁なり

梅雨晴れ間　　若きセールス　　多弁なり　　　一水

鵜飼舟

生きていて　　死んでもおらぬ　　鵜飼舟　　　一水

蝉時雨

誰にとも　　生きよと鳴くか　　蝉時雨　　　一水

残り梅雨

残り梅雨　　恋の色露　　降りやまず　　　一水

人いまだ

梅雨明けず　　遠くて近き　　人いまだ　　　一水

貸し家

貸し家　　札付け替えて　　梅雨つづく　　　一水

露草

少女の手　触れなんとして　　露草や　　　一水